「なーんでメガネなの?」で飲まされ続けた夜|20歳の宅飲みで味わった地獄

青春回想録

僕はこれまでの人生で、
「もう二度と経験したくない」と思った飲み会が2回ある。

そのうちの1つが、20歳のあの日だ。

当時はすでに「一気飲みは良くない」と言われ始めていた。
「イッキ、イッキ」みたいなコールも、

表ではダメという空気になりつつあった時代。

でも完全になくなったわけじゃない。
場所が変われば、話は別だった。

僕が一番苦手だったのが【宅飲み】だ。
店と違って、止める人がいない。
その時の空気がすべてになる。

そしてその日、その空気は最悪だった。

僕はもともと、カクテルを2〜3杯飲んで終わるタイプだ。
カシスオレンジとか、ファジーネーブルとか、そういう軽いお酒。

ビールや日本酒は正直あまり得意じゃない。
いわゆる“無理して飲まないスタイル”。
それは今も変わっていない。

「3次会どうする?」
「宅飲み行こうぜ」

そんな流れで、気づけば10人以上が集まっていた。

その中に、F君がいた。
とにかく酒が好きで、毎日のように飲んでるタイプの人間。

そのF君が、小さな声で言った。

「デュタとMって、いつもあんまり飲まねぇよな」
「どうにか飲ませらんねぇかな」

僕はその時、まだ冷静だった。
その言葉が、妙に耳に残った。

正直、帰ろうかとも思った。
でも

「デュタ〜飲もうよ〜」

そんな空気もあって、少しだけ残ることにした。

今思えば、この判断が地獄の始まりだった。

最初は普通の飲み会だった。
笑い声もあって、特に問題はなかった。

でも、流れが変わる。

「飲みゲーやろうぜ!」

嫌な予感はした。
でも、もう遅かった。

「デュタちゃんのちょっといいとこ見てみたい」

そーれ
イッキ イッキ

なんで俺なんだよ。

そう思う間もなく、目の前に酒が置かれる。
飲むしかない空気。

ここからだった。

この宅飲みには、“あるゲーム”があった。

それが、「なんで?」

これが本当に地獄だった。

「あれ?デュタなんでメガネかけてるの?」

「いや、目が悪いから」

「なーんでメガネなの?」
「なーんでメガネなの?」
「なーんでメガネなの?」

ハイ!!!どどすこすこすこすこ

気づいたら、目の前に酒。
意味が分からない。

このゲームは、“なんで〇〇なの?”に当てはまった人が飲むというものだった。

でも実際は違う。

あれはゲームじゃない。
完全に、狙い撃ちだった。

いつもあまり飲まない僕とM君を、飲ませるための流れ。

「デュタ、なんで坊主なの?」

「なーんで坊主なの?」
「なーんで坊主なの?」
「なーんで坊主なの?」

ハイ!!!どどすこすこすこすこ

逃げ場はなかった。

さらに追い打ちがくる。

「橋本聖子!」

両手にグラスを持って、スケートみたいに腕を振りながら飲む。
右、左、右、左。

これはもう、笑える範囲を超えていた。

僕は言った。
「もうやめようよ」

せめてものブレーキのつもりだった。

でも

「デュタ〜なに言ってんの〜」

その一言で、流れは決まった。

「まだいけるだろ?」

善意は、通じなかった。

そして僕は、そのまま完全に潰れた。

目が覚めたのは朝。
隣には同じように飲まされていたM君。

「腹減ったな」

そんな会話をしながら、2人で牛丼を食べに行った。

でも結局、家に帰ってリバース。

何のための牛丼だったのか、今でもよく分からない。

若い頃に戻りたいと思うことはある。

でも

あの日のあの飲み会だけは――

絶対に戻らなくていい。

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