島田紳助は、ただトークが上手い人じゃない。
あの人の本当の武器は、別にある。
分析力だ。
もちろん、トークはおもろい。
気持ちいいくらいの毒舌で、
行列のできる法律相談所なんかは
島田紳助の話を聞きたくて観ていたようなものだ。
プロの芸人が腹を抱えて笑う、稀代の話術師。
でも、それは結果でしかない。
紳助さんの一番すごいところは
圧倒的に「考えている」ことだと思う。
紳助さんの同期には、天才がいる。
明石家さんまと、オール巨人。
さんまさんは、生まれながらのスター。
巨人師匠は、正統派漫才の天才。
まともにやったら勝てない。
そう思った紳助さんは、ヒールで勝負することを決めた。
そのために何をしたか。
面白いと思った芸人のネタを、テープで一字一句止めては書き起こす。
ウケる間、オチの形、全部を分析する。
そして見つける。
「この形なら売れる」という漫才。
漫才は、友達とやるものじゃない。
自分に必要な人間とやるものだ。
面白い奴じゃなくていい。
自分の考えを理解して、その通りに動ける人間。
それが、相方の松本竜介だった。
紳助は言う。
売れるためには、XとYがある。
Xは、自分にできること。
Yは、時代の流れ。
これを理解した上で「どうすれば売れるか」を考える。
これを知らずに悩むから、一発屋になる。
なぜ当たったのか説明できないから、続かない。
さらに紳助さんは、ターゲットまで決めていた。
20歳から35歳の男。
理由はシンプルで、
「自分に近い人間を笑わせるのが一番簡単だから」
目の前の女の子にウケても意味がない。
テレビの向こう側にいる“兄ちゃん”を笑わせろ。
そしてもう一つ。
この漫才は長くは続かない。
最大でも10年。
だからそれまでに勝ち切る。
実際は、もっと早かった。
5年で終わりを感じた。
周りはウケてると言う。
でも紳助さんにはわかっていた。
「もう終わってる」と。
そこに出てきたのが、ダウンタウン。
紳竜は速いテンポの8ビート。
ダウンタウンは、遅い4ビート。
やっていることは似ているのに、
テンポが違うだけで“新しいもの”に見える。
これを見た瞬間、確信する。
「あいつらはいずれ出てくる」
「出てきたら、自分は負ける」
だからやめる。
すごいのはここだと思う。
勝つ方法を分析した人間が、
“負ける未来”も同じように分析していること。
この話を聞いた時、
島田紳助が売れたのは当然だと思った。
自分の立ち位置と、時代の流れ。
それをここまで正確に読める人間が、
勝てないはずがない。
そしてこれは、別に昔の話じゃない。
今を生きる自分たちにも、そのまま当てはまる。
自分にできることは何か。
今の流れはどこに向かっているのか。
正直、僕にできることなんて大したことない。
でも紳助さんの考え方で言えば、
その僕にある“しょぼいX”をちゃんと使うしかない。
だから僕は、今日も自分の話をする。
髪の状態を、正直に書く。
それが今の僕にできることだから。


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